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ベトナムの障害児教育事情~南部編③~

最終回の今日は、ホーチミン市教育養成局の管轄下にある、「障害児のための社会参加及び教育の発展を支援するセンター(⇒長い!)」のセンター長、ハー先生のお話をご紹介します。 

このセンターは1989年に設立されたもので、5つの任務を持っています。それは、①障害児教育のための教材・手法などの研究、②障害児教育に携わる先生方のための研修実施、③生涯を持つ子どものご両親へのコンサルテーション、④障害の早期発見と早期支援、⑤教材の編纂です。因みにベトナム全国で、このようなセンターはホーチミン市にしかありません。

このセンターでは現在、聴覚障害と知的障害を持つ子ども達を対象に早期発見と早期支援のプログラムを実施しています。このプログラムでは、ご両親とセンターのスタッフが子ども達の障害の度合いを確認し、自宅での子どもの接し方などについて、ご両親がセンターのスタッフからアドバイスを受けることができます。この他、幼稚園の教員とも連携を図り、障害を持つ子ども達の受入れを進めています。

ハー先生によると、ホーチミン市の障害を持つ子ども達の数というのは、正式に統計がないため、わからないそうです。しかし、障害を持つ子どもの数が「増えている」印象をもっていらっしゃいます。その理由として、ハー先生のセンターやニー先生、コアイ先生の学校など、障害を持つ子ども達を受け入れる教育施設が増え、プログラムが改善されてきたこと、そのことをご両親が知り、子ども達を預けるようになったこと、が考えられるそうです。

また、最近は健常者を対象とした職業訓練学校で障害をもつ生徒も受け入れるようになってきたそうです。さらに、障害児教育法がもう少しで完成するそうで、これにより、センターの任務や機能が強化され、より充実したサービスを提供できるようになる、とハー先生の声が弾んでいらっしゃいました。

ご両親向けの教材について説明するハー先生

ご両親向けの教材について説明するハー先生

ハー先生のセンターでは障害を持つ子ども達のご両親向けに教材を作成し、無料で配布しています。コンピューターでもダウンロードできるようになっているそうです。センターの活動や子ども達の変化について話してくださる時、ハー先生はとても生き生きしていらっしゃいます。「障害を持つ子ども達が楽しく暮らせるように。そして、生きる意義を見出せるように。」そんな思いを抱いて、ハー先生や他の先生方は地道な努力を続けていらっしゃいます。