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ベトナムのとある農村での静かな変化
ホアビン省に出かけてきました。5月に訪問して以来ですが、道中、ハノイ近郊や各村の道路が改善されており、ちょっと驚きました。イコール「発展している」とは思いませんが、ともかく速いスピードで特に道路などのインフラが整備され続けています。
さて、各村ではアヒル水稲同時作が着実に根付いていることを確認しました。5月に聞いていた実践世帯数を維持、或いは上回っていました。また、確認が取れただけでも新たに3つの村で研修が行われ、実践されています。この時期、すでに出穂しているため、アヒルは田んぼから引き上げられています。このようにゆったりと田んぼの周りを散歩していました。

田んぼの周りを散歩中
また、今年は閏月があったので、いつもより遅いお盆を迎えています。以前、カオバン省でフィールドワークをしていた村もそうですが、やはり、夏は水が豊富にあるので、たいていはお盆といえば、ベトナムの農村ではアヒルの肉を食べます。ご多分に漏れず、私たちもご馳走になりました。

かわいそうですが、もうすぐ・・・

このようになりました。
一方、気になるのは今年の稲の成長具合です。今年は暑く、雨があまり降らないということでした。長雨で農作物に影響が出ている日本とは対照的です。加えて、今年の冬春作から新しい改良種が紹介され、病害虫への耐性が未知数のまま大量に用いられていました。こうした状況の中、ウンカやいもち病が蔓延し、稲が被害を受けていることを知りました。特に驚いたのは山岳地域に今まで見られなかったウンカが今年、発生していたことです。

いもち病
村人や農業室のスタッフの話では、収量は昨年に比べて、少なく見積もっても20%くらいは減るということでした。アヒル水稲同時作で食卓を豊かにし、また、現金収入を得られるようになった矢先、また新たな試練が村人を待ち受けていたのでした。農業を続けることの厳しさを、また見せつけられました。
これから、世界中の農村では、地球温暖化などの影響を受け「今までになかったこと」が毎年のように起こることが予想されます。現金収入はおろか、自給すら厳しい状況に陥るかも知れません。ホアビン省の村人はとても焦っていました。「病害虫の被害を受けない種類の稲を植えたい」、「収量を上げるために種を代えたい」、「いもち病に効く農薬はないか」・・・大都市で食品の安全、人々の健康や自然環境を守ることについて、関心が高まりアクションも起こされていますが、その一方で、農村では静かに確実に変化が生じています。
Posted: 2009年 9月 5日 カテゴリ: 未分類.
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