「ベトナム」と一口に言っても、地域ごとに風土も人々の暮らし方や考え方も異なります。また、ベトナムは中央政府から省・郡・村という行政のラインがしっかりあり、農業などの専門機関も配置されています。個々の活動が各地域に根付き、その地域の人々の活動として継続・発展していくためには、その地域に住む人々と話し合いを重ね、実施方法などを選択していくこと、そして、行政や専門機関のスタッフとの連携が必要となります。
在来の資源を活かした環境に負荷をかけない農業の推進
村にある資源で堆肥をつくる村人たち1986年にドイモイ政策によって、市場経済が導入されたベトナム。目覚しい経済発展を遂げる一方、環境問題が深刻になってきています。農村の人々の暮らしを守り、発展させていくためには、暮らしの糧となる、きれいな水、そして、豊かな土壌を守る必要があります。さらに、その地域の固有の種を守り、より豊かな生態系を保つことが大切です。川、山、水田などは人間が食べる物、薬となるもの、様々な道具の原料、家畜の餌になるものがたくさんあります。地域の自然資源を守ることは、人々の暮らしを守ることに直接、繋がるのです。
Seed to Tableは対象地域の人々と共に、地域の在来種を守り活用しながら、環境に負荷をかけない農法に取り組んでいきます。
地域の自然や文化を守り、活かし、暮らしを改善する
植物を調べ、使い方をまとめている村の青年たち農家の皆さんが農業を続けながら友人や家族と楽しく暮らしていくためには、地域の経済を良くしていくことと同時に、暮らしを支えている地域の自然を守り、人々の心のよりどころとなる地域の文化や知恵、人々の和を大事にしていくことが必要です。
Seed to Tableはまず、その地域に住む人々、特に青年や子ども達と一緒に、地域を知ることから出発します。例えば、山や川にはどのような植物や動物がいるのか。人々はどういう植物を育て、どのように食べたり活用しているのか。水はどこから来てどこへ行くのか。どのような「名人」が住んでいるのか。人々はどのように協力しているのか・・・などです。
Seed to Tableは各地域の人々と調べたことを元に、地域ごとの魅力をまとめ、発信していくためのプログラム作りと、そのプログラムを管理・運営していくことができる人材づくりに取り組みます。
地域の資源を活かした加工品と仕事づくり
村にある自然資源で加工品を作る女性ベトナムでは人口の約7割が農村に住んでいます。そして、人口の約6割が農業に従事し、その多くは小規模経営です。ベトナムの農家にとって、小さな農地を効率的に効果的に経営していく一方で、作った農産物にどのように付加価値をつけていくのかが課題となっています。また、近年、特にメコンデルタにおいて、様々な事情から農地を手放すなど、農地を持たない人が増えています。彼らは日雇い労働に出て生計を立てざるを得ず、不安定な生活を送っています。
Seed to Tableは対象地域の人々と共に、その地域で作られた農産物や、在来の植物などを活かした加工品づくりに取り組み、特に女性達が自宅から通えるところで仕事ができるようにすることで、小規模経営農家や農地を持たない貧困世帯の暮らしの改善を目指します。
農村と都市を結ぶ 人と人を結ぶ
有機農産物生産者グループとシェフとの交流近年、ベトナムでは生産地や生産方法がわからない食材が市場に出回り、人々は食の安全に不安を感じています。Seed to Tableは環境に負荷をかけない農法で農産物を生産している農家を都市に住む消費者やシェフ、流通業者に紹介し、相互理解を深め、協力関係を構築していくための機会を作ります。そうすることで、消費者は安全な食材を手に入れることができ、農家の現金収入の向上に繋がります。
また、農家間の交流を開催したり、ベトナムの人々と日本の人々との架け橋となり、相互理解を深めるための機会を作ります。