タネから食卓へ | なぜベトナム? | 私達がめざすこと | 私たちがやるべきこと | 代表者について
Seed to Table、タネから食卓へ
昔から人は食料を確保し暮らしを維持するために、森・川・海など自然の恵みを受けながら、地域の風土に適した地域ごとに特徴のある作物のタネを大事に守り育ててきました。そのタネを守り活用するために、私たちの先祖は協力して様々な工夫を施してきました。それが地域の知恵や文化となって私たちに伝えられ、今の豊かな食があるのです。でも今、単一作物づくりが世界に拡大し、しかもそのタネはF1という一代限りのものになってしまいました。食の工業的な生産風景が世界に広がり、地域固有のタネが片隅に追いやられてしまいました。
私たちは思うのです。多様なタネ、多様な生き物の存在こそが生命豊かな世界をつくり、私たちも恩恵をこうむることができると。
地域固有のタネを守ることは、私たちの食卓を豊かなものにするだけでなく、地域の文化や生物多様性を守ることにつながると確信します。
Seed to Tableは、次の世代に地域で守られてきたタネ、タネをはぐくむ豊かな自然、そしてタネを守り育てつないできた知恵や文化を伝えたいと考えています。
そのために、まず、地域固有のタネを守り活用している人々の暮らしを考えます。経済的に成り立っているかどうか、暮らしを支える豊な自然が残っているかどうか、そして、協働できる仲間がいるかどうかなどです。一つの家族だけではなく、同じ地域に住む人々の共通の課題として取り組むことも必要になります。都市の食卓で食べている人々も、タネを守り活用している人々を様々な形で応援することで、安全な食を確保し、自分たちの健康と自然環境を守ることにつながることでしょう。
Seed to Tableは、こうした考えのもと、各地域に伝わる在来のタネの発掘と活用、生態系に配慮した農業、自然資源の持続的な管理を中心に、在来の資源を活かした地域づくりを実施します。また、都市に住む人々と農村に住む人々が相互に理解を深めるための活動や、地域の知恵や文化を守り伝えていくために世代と世代を結ぶ活動にも取り組んでいきます。
なぜベトナム?
ベトナムは人口の約6割が農業に携わり、人口の約7割が農村に住んでいます。そして、コメやコーヒーの輸出量が世界で第二位という農業大国です。しかし、農家の収入は低く、暮らしを支えている水・土・森などの自然も破壊されています。各地域で受け継がれてきたタネも、高収量を得るために開発されたタネなどの浸透により、急速に失われています。そして、遺伝子が組み換えられたタネも販売されようとしています。
1986年に始まったドイモイ政策によって市場経済が導入されてから、都市と農村の格差が広がっています。そして、若者が都市に出て行くなど、人々のつながりが希薄になり、地域の文化や知恵が継承されず、失われてしまった地域も出始めています。
しかし、経済的に苦しくても、協力して地域の文化や自然を大事にし、子ども達を教え、自分達の暮らしを良くしていこうと努力している人々も存在します。そうした人々と出会い、Seed to Tableの活動が始まりました。
ベトナムでも都市では生産地がわからない、生産している人の顔が見えない食品が増えており、食の安全に対する人々の危機感が高まっています。ベトナムの農村で安全な食が生産され、消費者に提供することができれば、消費者も喜び、また、農家の収入も向上します。そして、若者が誇りをもって農業を続けていくようになれば、それぞれの地域にある文化やタネ、自然が守られるようになると考えます。
Seed to Tableはベトナムの農村で暮らしを改善し、次世代を育てていこうと努力している人々と共に、都市に住む人々とも協力しながら、新たな地域づくりに取り組んでいきます。
私たちがめざすこと
世界中の人々が知恵を出し合い、各地域のタネ、自然、そして伝統文化を守り、自給と収入を改善するための経済基盤を整えながら、家族や友人と楽しく暮らしていけるようになること。
私たちがやるべきこと
1. 人々の暮らしを支える地域の自然環境と生物多様性を守ること
2. 食料自給を向上させること
3. 各地域の「強み」を生かした産品を育てていくこと
4. 次世代を担うリーダーを育てていくこと
5. 各地域の伝統的な農法や風習、人々の知恵、固有のタネ、動植物などを記録し、
次世代に残すこと
6. 人々が信頼関係を築き、助け合っていくための出会いと話し合いの場をつくること
7. 農・食・地域に関する課題を発信し、同じ問題意識を持つ人々と協力して解決に向けた行動を
起こすこと
特定非営利活動法人Seed to Table〜ひと・しぜん・くらしつながる〜
代表 伊能まゆ
1997年3月に明治大学文学部卒業後、渡越。日本のNGOが実施していた事業や学術調査に翻訳・通訳、調査者として参加し、ベトナムの北部から南部の農村を歩く機会を得る。2000年4月に一橋大学社会学研究科博士前期課程に入学。博士前期課程を終了後、2003年4月に日本国際ボランティアセンター(JVC)ベトナム事務所に赴任。2005年6月より2009年3月までベトナム事務所代表を務める。2009年7月に任意団体Seed to Table〜ひと・しぜん・くらしつながる〜を設立。2010年4月に東京都より法人格を取得し、特定非営利活動法人Seed to Table〜ひと・しぜん・くらしつながる〜となる。
メディア掲載
・2010年10月 読売新聞 ホアビン省・在来種保存・活用の活動が紹介される。
・2011年1月 朝日新聞 ホアビン省・在来種保存・活用の活動が紹介される。
・2011年2月 ヘラルド朝日、朝日新聞ウェブサイト英語版、The Cambodia Dailyにてホアビン省・在来種保存・活用の活動が紹介される。
・2011年9月 共同通信社「地球人間模様@LOVE」ベンチェ省での活動が紹介される。
・2011年10月 フジサンケイビジネスアイ ベトナムの農業に関しての見解が紹介される。
・2012年2月 Catch Asia! Look Japanのウェブサイトにて環境教育の活動が紹介される。
・2012年3月 NHK北九州「Asian Passion」、NHK総合テレビ「ろーかる直送便」、NHKワールドにてハイフォン市のアヒル農法が紹介される。
・2012年7月 テレビ東京「地球VOCE」ホアビン省・在来種保存・活用の活動が紹介。
・2012年10月 朝日新聞 朝日環境フォーラムにて「ベトナムの食と農」について発表した記事が掲載される。
・2012年11月 社団法人日本住宅協会 「住宅」 Vol 61 環境教育について紹介される。
・2013年1月 NHKワールド・ベトナム語放送にてSeed to Tableの活動が紹介される。
・2013年4月 テレビ朝日「世界の村で発見!こんなところに日本人」ベンチェ省の活動が紹介される。
・2013年5月 NHKワールド「Asia Insight」 ベンチェ省の塩害被害について紹介される。
・2013年8月 NHK BS「アジアで花咲け!なでしこたち」 ベンチェ省の活動が紹介される。
・2013年9月 NHKワールド・ベトナム語放送およびベトナムの声放送(VOV)の共同制作「日越外交樹立40周年記念特別番組」に出演。
・2013年12月 「ヤマザキマリのアジアで花咲け!なでしこたち」がKADOKAWAより出版される。
・2013年12月 「AERA合併増大号 アジアで勝つ100人」にて活動が紹介される。
・2014年1月 「月刊 ガバナンス」No.153/2014にて活動が紹介される。
・2014年9月 時事通信社「地方行政」にて活動が紹介される。
その他
・2012年9月 日本国内閣官房国家戦略室より「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」として感謝状が授与される。