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Archive for 2009年 9月 11日

「当事者意識」を持つ。

日経ビジネスオンラインで「当事者意識に欠けた社員はいらない」という記事が掲載されていました。

 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090907/204185/?P=1

菱食という大手食品卸会社の「トップガン・プロジェクト」という独自の社員研修が紹介されていました。昨今の厳しい経営環境の中、どのように会社を変えていくか。まずは「10年後、菱食が生き残るために何をすべきか」という漠然としたテーマを社員に与え、考えさせ、結論を出し、行動する、という「考える土壌」を作り、組織と社員を変える。それが「トップガン・プロジェクト」です。

一見、「考え、結論を出し、行動する」ことは簡単じゃない、とも思えますが、実際に実行に移すのはとても大変だと思います。これまで、農村開発事業を立案し、実施し、改善し、さらに次のステップを考えることを仕事としてやってきました。全く知らない土地で知らない人々と出会い、彼らの置かれている状況を理解し、関係を築きながら、プロジェクトを実施するわけです。対象地域の人々がどのように状況を変えたいと思っているのか、希望を知り、一緒に具体化していきます。真っ白な画用紙に事業を行う人々と一緒に絵を描いていくようなものでした。

その過程ではベトナムの農家や行政の方と、本当はどんなニーズ・希望を持ち、どのように変わりたいと思っているのか、外部から本当に必要な投入は何か、などについて議論を行いました。また、当時、所属していた組織の本部にも事業の意義や内容を説明し理解を得、さらにご支援を頂いていた皆様にもご理解頂き、ご支援を得る必要がありました。

私が「きっついなー」と思うのは、活動に関わる人々が「当事者意識」を持っていない場合です。議論に参加している人が「当事者意識」を持っているかどうか。これがあるのとないのとでは、議論の内容が全く異なったものになりますし、結果も違います。様々なステークホルダーが関わって一つのプロジェクトを実施していくので、中には自分と同じ考えではない人や「当事者意識」を持たない人も参加していることが多々、あります。そういう人々も含めて、一つの大きな作業をやっていくわけですから、大変です。

私は代表という職務で仕事をしていましたが、代表だからといって、全てを自分の思うように決めて良い訳ではありません。一つの物事を決定する際に、一緒に活動するスタッフや対象地域の人々と意見を交わしあいながら、合意を図っていく必要がありました。その過程で、個々のスタッフや村人、行政関係者が「当事者意識」をもってもらえうように工夫をしていくことが求められました。そうしなければ、良い事業を実施できず、結果も得られません。また「考え、行動する」人材も育たず、村人の活動として継続しません。菱食の中野社長もこのようにおっしゃっていました。

 「私はね、中間流通のあり方を本当に変えようとしているんですよ。そのためには、一人ひとりの社員が菱食や中間流通の将来を考えなければならない。私だけが考えたってダメなんですよ。特に若い層、これからの30年を担う人々が腹の底からそう思って、行動してくれないと。」

そうです。同じビジョンや目標を共有し、一人一人が動けるようにならなければ、目標を達成することはできません。ここで社長がおっしゃる「中間流通のあり方を本当に変えようとしているんですよ。」というのは、大きな目標です。この大きな目標を達成するためには、やはり一人の力だけではダメで、チームワークと行動力が必要なのです。

これからも「当事者意識」を忘れずに、仲間とも目標を共有しながら、良い仕事をしていきたいと思います。