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Archive for 2009年 9月 7日

ベトナムでの国際協力~大きいも大変、小さいも大変

ベトナムでは予算額の大きいNGOや国際機関が好まれます。それは、国際協力の資金も「投資」の一環だと思われているからです。各省でNGOが予算額の大きい事業を実施すれば、それだけ「投資額」が増え、行政機関の実績になります。村人も行政スタッフもNGOのプロジェクトについて話す際に「支援ho tro、giup do」という言葉と同じくらい、或いはそれ以上に「投資dau tu」という言葉を使います。確かに国際協力事業を通じて、ベトナム国内にお金が落ちますから、そういう意味では「投資」です。ベトナムの人々の経済感覚というか、外国に対する意識というか、そういうものがこの言い方に如実に現れているように思います。

しかし、予算が大きい事業だからといって必ずしも多くの活動ができたり、成果が上がる訳ではないようです。なぜうまく行かないのか。理由は個々のケースによって異なりますが、たいていは「人」の問題が大きいように思います。例えば、大きい予算を使い切れない例があるとします。実施過程を見ていくと関わっている人の実施能力や全体の体制など、やはり「人」を中心とする、たくさんの難しい課題が見えてきます。

一方、予算が小さい事業は実施が簡単かというと、必ずしもそうではありません。「投資額」が小さいとそれだけ、軽視されてしまう傾向があり、パートナーとなる行政機関などの協力を得にくくなります。私が携わってきた事業は予算額の小さいものばかりでした。中には村人と共に素晴らしい結果を出した事業もあります。しかし、その過程は平坦ではありませんでした。事業の結果を出すことに専念しながら、村人やカウンターパートとの信頼関係の構築に務めました。事業でまず良い結果を出さなければ、自分達の事業の意義をわかってもらえず、また、事業終了後の継続性も得られないと思ったからです。

本来は事業の予算額が大きいと、いろんなことができるはずです。しかし、そのためには、大きな予算を有効に使える頭脳と実行力を持つ人材を育成していくこと、互いの文化の違いを理解しながら良いチームワークを構築していくことが求められていると思います。ホーおじさんが言ったように「100年先を見て『人を植える』」ことが必要なのです。また、事業の予算額が小くても、工夫次第でできることはたくさんあります。要は私達の考え方、やり方が問われているのです。