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ベトナムの障害児教育事情~南部編①~
今日は前回に続き、ベトナムの障害児教育事情、特にホーチミン市で障害児教育に携わる先生方の奮闘を中心に書きます。最初に「障害を持つ子どもと家族のためのケアセンター」についてです。校長先生のコアイ先生にお話を伺いました。

センター入口

クラスの様子
このセンターは、1991年に神父さんが地域の中で障害を持つ子ども達とご両親を対象に教室を開いたことがきっかけとして生まれました。現在は2歳半から16歳までの知的障害や身体障害を持つ子ども達が、108名学んでいます。設立後、最初の10年は教会が寄付を募り、運営費を捻出していましたが、現在はご両親から学費を頂いているそうです。私立の学校のため、ホーチミン市教育養成局からの予算はなく、教員の給与も負担しなければならないため、運営的には厳しい状況です。
ここで学ぶ子ども達が社会生活をきちんとできるように、自立を少しでも促すために様々なプログラムや職業訓練が行われています。例えば、毎月2回、グループごとに市場に出かけて食材を購入し料理を作っています。子ども達の自宅ではお母さんが屋台や雑貨屋を営んでいる場合が多いため、少しでもお手伝いできるようにするためです。
また、3階の教室では、子ども達が織物を織ったり、キーホルダーを作っていました。この織物を使った小物やキーホルダーなどはセンターで販売している他、クリスマスのイベントやホーチミン市の各イベントなどでも販売しています。こうした様々なプログラムに参加しているせいか、子ども達の表情がとても明るく自信にあふれ、楽しそうにセンターで学んでいる様子がとても印象的でした。

織物をおる子ども達
このセンターには、評判を聞きつけた多くのご両親が相談にやってくるそうです。施設の大きさを考えると、すでにパンク状態なのですが、このセンターに子ども達を預けたいと希望するご両親が後を経たないそうです。一方、予算的に厳しいため、先生方の移動も頻繁に生じています。例えば、子ども達が毎回、楽しみにしていた絵画教室の先生は給与の高いインターナショナル・スクールに移ってしまい、絵画教室が開けなくなってしまったそうです。
このセンターがある地域は、経済的に余裕がない世帯が多いため、ご両親も一生懸命、学費を工面しています。ご両親は子ども達の将来を案じ、少しでも社会生活に馴染み、楽しい時間を過ごして欲しいと考えています。そうしたご両親や子ども達の期待をこのセンターは背負っているのです。コアイ先生の悩みはつきませんが、これからも多くの子ども達が学ぶことの楽しさや生きることの素晴らしさを実感できるセンターであって欲しいと思います。
Posted: 2009年 9月 25日 カテゴリ: 未分類.
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