Archive for 2009年 8月 17日
ナタネ、そして八角とタミフル
朝日新聞の電子版にこんな記事が掲載されていました。
「遺伝子組み換えナタネ、在来種と交雑 環境省確認」
http://www.asahi.com/science/update/0813/TKY200908130245.html
じわじわと、私達の知らないところで、遺伝子組み換え作物が在来種と交雑して、根付きつつある、ということです。それにしても、記事で紹介されていた環境省の担当室の話は???という感じです↓。
・・・環境省外来生物対策室は、「組み換えナタネの利用承認の際に交雑の可能性は予想されていた。在来ナタネも元は外来植物で日本産の野生種と言えない」などとして生物多様性に悪影響を与える事例とはみなしていない。・・・
「組み換えナタネの利用承認の際に交雑の可能性は予想されていた」というコメントもすごいですが、「在来ナタネも元は外来植物」だから、今回の遺伝子組み換えナタネが日本にあるナタネと交雑しても「生物多様性に悪影響を与える事例とはみなしていない」というのもすごいです。本当にそうなんでしょうか?
少なくとも、遺伝子組み換えは自然界では起こらないことです。突然変異とも違います。人間が遺伝子を操作した結果、生まれてくる新しい種類です。今まで、地球上で自然に発生しない、未知の種類だからこそ、生物多様性や私達の健康にどんな影響があるかわからない。その点が怖いわけです。
スーパーなどでも、納豆などは、国産大豆と表示されているものや、遺伝子組み換えでない、と表示されているものがたくさん置かれています。消費者の意識の高さが企業を変えていっているのでしょう。
一方、ナタネは食用油などの原料として毎年、主にアメリカやカナダなどから200万トンが輸入されています。その中に遺伝子組み換えナタネが分別されないまま、混ざっています。ただ、加工された「油」として私達の前に現れるため、つぶつぶそのものを食べる納豆などに比べると、「本当の姿」が見えにくい。だから、何となく消費者にとっても安全性、身体への影響はどうなのか、と考えるきっかけが、できにくいのかも知れません。あくまで私の個人的な印象ですが・・・。
もちろん、遺伝子組み換えナタネが日本の在来種と交雑し、拡大していることに懸念をもち、地道にモニタリングしている方々もいらっしゃいます。しかし、残念ながら、一般的には関心はそう高くない、といわざるを得ません。種の問題というのは、ナタネに限らず、一般的に関心があまりもたれません。きっと、健康や環境への影響が、直接的に、しかも速攻で見えにくいからだと思います。
さて、もう一つの話題。夏なのに、新型インフルエンザの感染が広がっています。日本でも先日、亡くなった方がいました。ベトナムでも2名がすでに亡くなり、集団で感染している例もあります。
この新型インフルエンザに効くとされるタミフルには「八角」というスパイスから抽出される植物成分「シキミ酸」が使われているそうです。「八角」は「トウシキミ」という中国原産の木の実で、ベトナム料理にもよく使われます。星形をしており、独特の香りがあります。
「八角」は自然の産物なので、一度にたくさんは採れません。だから、タミフルの供給を安定させるために「純化学的に」製造する方法がすでに開発されているそうです。つまり、石油由来の化学物質を原料としてタミフルを生産する方法です。また、タミフルの製造・販売を行っているスイスのロシュ社では、2009年から「シキミ酸」を遺伝子組み換えによる生合成で量産しているようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%93%E3%83%AB
ここでも遺伝子組み換え技術が応用されています。どこまでも、限りなく、いろんなものを量産するために応用されていく技術のようです。食料についても、世界中で人口が増加しているため、供給量をどうやって確保するかが問題となっています。その解決策として、遺伝子組み換え技術の応用が有力だとする人々もいます。皆さんはどう思われますか?
Posted: 2009年 8月 17日 カテゴリ: 未分類.
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