Seed to Table~ひと・しぜん・くらしつながる~

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Archive for 2010年 5月 8日

契約栽培の難しさ

昨日、ベトナム中部のある省の農家が、せっかく実った稲の収穫を行っていないというニュースが報道されていました。この稲、食用として販売するコメではなく、種籾として販売するために契約栽培されたものなのです。ある大学の機関とその大学が持っている会社が農家と契約し、技術指導を行い、収穫期にはその種籾を買い取るという仕組みです。問題となっているのは、天候不順で品質が落ちてしまった種籾を誰が買い取るのか、という点です。農家は契約書に基づき、大学の機関や会社に対して種籾を買い取らないとすれば補償金を支払って欲しいと申し入れているそうです。

このように、国営・民間会社や研究機関が農家と契約を結び、技術指導を行う他、種子や化成肥料を支給し、収穫期に産物を買い取るという形式はベトナムでよく見られるものです。しかし、実施過程では様々な課題があります。

まず、技術指導があまり行われていない例が見受けられます。農家は栽培したことのない作物や野菜、薬草を契約栽培によって育てることが多いので、栽培過程において担当者がマメに農家を訪問し、技術や病害虫への対処方法について状況を確認し、話し合いながら実施していくことが必要です。事前に研修を行っているところは多いのですが、実際に植えて育てていく過程で問題は起こるものです。やはり、担当者がマメに栽培地域を訪問する必要があるでしょう。

また、実施規模が大きいという点も契約栽培が成功しない理由だと思います。大きい面積をマメに見回ったり、管理するのは容易ではありません。

ベトナムでも契約栽培は盛んに行われていますが、農家の皆さんや企業・研究機関にとって良い結果を得るために大事な点は、両者が共に汗をかいて協力していくことだと思います。今回のニュースで、改めて関係者が協働することの大切さを感じました。