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少雨と食料確保
ベトナム北部・中部では記録的な少雨が続き、大規模な旱魃となっています。テレビでも連日、各省の農家の様子を伝えています。多くの地域では田植えが全くできないか、できたとしても灌漑用水が枯れて苗がひからびてしまっています。ニュースによると、北部と中部でコメ不足が生じることはほぼ確実のようです。
昨日、ホアビン省で様子を見てきましたが、こちらも厳しい状態です。事業対象村では、ほとんどの集落で田植えができないか、できたとしても、例年の3割程度の面積にとどまっています。せっかく植えた苗も雨が降らないため、枯れてしまいました。
平野部のデイックザオ村やフーヴィン村は気温が高いため、これから播種し直して田植えを7月後半に行うことも可能ですが、標高900メートルに位置するナムソン村では、10月以降に収穫時期がずれ込むと、稲穂が実る時期に涼しい風が吹くため、良い収穫が見込めません。そのため、田植えを諦め、生育期間が短い改良されたトウモロコシの種を植えて急場をしのぐ必要があります。しかし、田んぼがカチカチになっているため、播種できず、こちらも時間との戦いになりそうです。
こうした気候の変化に対応しながら食料を確保するには、どうしたら良いのか、継続的に村人と意見交換をしています。最近はコメとトウモロコシに頼ってばかりでは、食料の確保が難しいのではないか、という意見が出されるようになっています。こうした意見は2006年から2007年にかけて寒波と洪水でコメとトウモロコシが相次いで不作になったナムソン村でも出されました。そして、村人はしばらく栽培していなかった雑穀を再び植え始めました。
デイックザオ村の村人にナムソン村の話をしたところ、食料を確保するために再度、雑穀を植えてみよう、ということになりました。以前、村人は雑穀を植えていたそうですが、脱穀が面倒ということで敬遠され、今では植えている世帯がほとんどないとのことでした。今年のデイックザオ村では、いつもは元気なマメ類やカボチャなども少雨のため枯れかけており、食料の確保が困難になりつつあります。ナムソン村のように、いざという時にセーフテイーネットの役割を果たす豊かな森もありません。自宅の周りや畑を活用して食料を確保していく以外にないのです。
ベトナムでは多くの人がコメを主食としているため、コメが不作になると食料が不足する印象があります。しかし、本来はコメ以外にも、地域にある山/丘や川、田んぼや畑などから様々な植物や小動物を採集・捕獲したり、育てながら、暮らしを成り立たせてきました。
コメが収穫できることは豊かさの象徴でもあります。コメの収穫が見込めない今年は農家の皆さんにとって苦しい年になりますが、こういう年にこそコメ以外の食料にも目を向け、先人達の知恵や工夫から学びながら、改めて周囲の自然や田んぼ、畑の活用方法について考える契機になればと思います。私も「よそ者」として、可能な限り村人をサポートしていきたいと思います。まずは雑穀から。
Posted: 2010年 7月 7日 カテゴリ: 未分類.
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