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「水」についての座学・実験からの学び
環境教育事業にご支援頂いている(株)INAX様の職員による「水」に関する勉強会をホアビン省ナムソン村で実施しました。参加したのは各集落の小・中・高校生及び青年団の代表、ナムソン村の代表、フーヴィン村の青年団代表、タンラック郡資源環境室のスタッフなど60名です。
まず、初日はINAXの皆さんによる座学からスタートしました。水が私達の暮らしの必要不可欠なこと、その水が汚れるとどんな影響があるのか、さらに、水を大切にきれいにするためにできることは何か、などについて学びました。また、日本の公害の歴史や他国の気候に適した水の利用方法なども紹介されました。
午後は、ナムソン村で使われている水源の水について透視度や汚染度を調べるための実験を行いました。まず、ペットボトルを利用した透視度計をグループごとに作り、2箇所の水源から持ってきた水を入れてみました。すると・・・あれれ?見た目はあまり濁っていない水も30cmの高さでは底に書かれている十字が見えません。参加者は水位を少しづつ下げながら、底に書かれている十字が見える高さを調べました。透明だと見える水も、実際に透視度を計ると意外と濁っていることがわかりました。
次に5種類の試薬を用いて水の汚れについて調べ、各グループごとに結果を発表しました。透明できれいだと思っていた水が、少し汚染されている可能性があることがわかりました。ただし、1回しか実施していないため水がどの程度汚れているのか、原因は何かなどの評価を下すことができません。継続的にチェックしてデータを集めることが必要だとINAXの皆さんから教えて頂きました。せっかく実験を行い、やり方を覚えたところなので、今度は各集落で1箇所、飲料水に用いている水源の透視度と水の汚れについて調べて翌日、発表することになりました。
翌日、各集落での実験結果を発表してもらいました。透視度計については、ペットボトルをつないで30cm以上の高さにして計ってきた集落があり、学んだことをしっかりと活かしていました。また、水の汚れについても各試薬で調べた結果を発表し、INAXの方にコメントを頂きました。基本的にどの集落もきれいな水を飲料水として利用していることがわかりましたが、やはり、継続的にチェックを行い、数値に変化があるかどうかを調べる必要があることがわかりました。
そこで、INAXの皆さんが提供してくださる試薬を用いて、どこの水源の汚れについて定期的に観測したいのか、そのための活動計画を作りました。また、水の汚れをなくすために集落ですぐにできる工夫や活動は何か、についても話し合いました。すべての集落から飲料用水と水田にひいている水の汚れをチェックしていきたい、という意見が出されました。やはり、毎日飲んでいる水や稲作に必要な水についての関心はとても高いです。また、2つの集落では養魚を行っている池の汚れも調べたいという希望が出されました。
さらに、生活用水施設の周りに散らかっているゴミを集めて棄てるための穴を掘ったり、定期的に清掃するなどの活動案が出されました。参加者は水の汚れについて一定期間調べた後、汚れがあるとすれば、その原因を分析し、対策を立てたいと話しています。今回、各集落で立案した計画を元に早速、各集落で選定した水源の汚れを定期的にチェックし、データをとっていきます。
ベトナムの学校では机に向かって授業を聞いていることが多く、道具や身体を使って実験を行う機会がほとんどありません。ある事象について実際に自分で調べてみると、印象や本の中で学んだことと異なる場合があること、そして、その違いはなぜか?を考えることの大切さやおもしろさを学ぶ機会になったと思います。何より、参加した子供や青年たちの真剣な眼差し、発見した時の驚きや笑顔に、彼らの充実感が現れていました。
Posted: 2010年 7月 25日 カテゴリ: 未分類.
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