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メコンデルタの就職事情~農業編~

ドンタップ省でトゥックさんのご家族を訪ねた後、農業普及センターを訪問しました。副センター長をしているトゥイェンさんに会うためです。久しぶりにお会いし、これからの協働事業の可能性について話し合いました。 

トゥイェンさんが頭を悩ましている課題として、若い人材が定着しないことが挙げられます。これはベンチェ省の農業普及センター長、コンさんも同様でしたし、アンザン省やカントー市の農業関係者からも同じような問題があることを聞きました。理由は他に民間企業などの就職先があり、そちらの方が給与が良いからだそうです。

こうした南部の状況は北部とは全く異なっています。ベトナム北部の農村で子ども達が大学や専門学校に入学できた場合、たいていの子ども達やその家族は、卒業後、地元の公務員になることを考えています。民間企業に就職することを考える人は、ほとんどいないと言っても過言ではないです。それくらい「給与は低くても公務員は安定しており、将来の生活が保障されている」という考えが主流であり、かつ、北部では他の就職口がない状態なのです。

2年ほど前にカントー大学農学部で学ぶ学生さんと話した時、就職活動は大変ではないかどうか、どんなところに就職したいのか、などについて聞いてみました。その学生さんは「就職口に困ることはありません。国の機関もあるし、民間企業の募集もたくさんあります。給与を考えると外資系の企業が魅力的です。私は民間の会社に就職することを希望しています」と話していた。

就職口が多いドンタップ省で、農業普及センターに勤務して3年になるというフォン君を紹介されました。彼はドンタップ省の農村出身でご両親は農業に従事しているそうです。ホーチミン市の農林業大学で畜産を学んだ後、タイの大企業に就職しました。3年ほど勤めた後、出張が多く実家の手伝いができないため退職し、農業普及センターに就職したのです。今はドンタップ省の省都カオラインから25kmほど離れた実家から毎日、バイクで通勤しています。

ドンタップ省のフォン君

ドンタップ省のフォン君

「タイの企業で働いた時と比べると給与は3分の2くらいに減りました。でも、実家から通えるし、地元で働けることが嬉しいです。現在、農家が市場により参入できるよう、支援を行う部署に勤務しています。ドンタップ省は稲作の他に水産も畜産もあるので、うまくそれらを発展させ、農家の収入向上につなげていきたいです。」

フォン君のような若者が一人でも多く国の専門機関に残り、農家を支援していって欲しいと思いました。

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