タイの有機農産物事情
先日、久しぶりにバンコクに出かけた際、あるタイの組織でフェアトレードを担当している方とお話する機会がありました。この組織は有機農業の研修などを行う傍ら、有機農産物の品質向上を図り、ヨーロッパなどに輸出したり、タイ国内の大手スーパーに商品を卸しています。有機農産物の流通を確立した実績が評価され、スタッフがコンサルタントや講師として、東南アジア諸国に招聘されています。
私の興味はタイ国内での活動でした。特に生産者と消費者の信頼関係を構築するために、どんな活動を実施してきた/しているのか、ということです。ただ、私がお話を伺った限り、タイ国内で生産者と消費者の信頼関係を構築することは容易ではなさそうでした。現状では、有機農産物の生産と海外への輸出に注力しているようです。
ベトナムで有機農業に関係する友人達と話すと、多くの人々は有機農産物を生産し、海外に輸出することを考えています。確かに、タイの事例を見ても、コメがあまり生産されていないヨーロッパなどに有機米を輸出することで、ビジネス的にも大きな成功を収めています。
一方で、タイは6,000万人の市場、ベトナムは9,000万人近くの市場があります。経済成長と共に、食の安全や健康への関心が高まり、有機農産物へのニーズが高っています。この国内市場に自国で生産した有機農産物をどのように紹介・販売していくのか。農家の生計向上と環境保全を含めて、広く地域づくりという視点において、大切なテーマであります。また、気候変動による農作物への被害が出ていることから、国家のフード・セキュリティーという意味でも今後、真剣に議論していく必要があるでしょう。
タイ国内における有機農産物の流通について、引き続き、注目していきたいと思います。
Posted: 2010年 3月 14日 カテゴリ: 未分類.


