Seed to Table~ひと・しぜん・くらしつながる~

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100年に一度あるかないかの旱魃

北部に戻り農村の様子を方々で聞いてみると、今年は異例の旱魃で雨季の田植えもどうなるかわからない、という状況になっていました。昨年11月頃から例年よりも雨が少なく、また、雨が降る時期も遅いことから、ハノイの紅河は最低水位を更新し、一時期50cmまで下がりました。北部に電力を供給しているホアビン・ダムの水位も低く、ホアビン省をはじめ、ハノイ周辺の農村部では計画的な停電が続いています。 

ホアビン省タンラック郡でも少雨により、2月の田植えから現在までまとまった雨がなく、田んぼはカラカラ。ナムソン村の村人は何とか稲を持たせようと、湧き水などを汲んできて苗に水をかけてやっていたようです。そうした努力が実り、不作は免れたようです。

田植え後1ヶ月が経ったナムソン村アムさんの水田。この時すでにカラカラで、その後も少雨が続いた。

田植え後1ヶ月が経ったナムソン村アムさんの水田。この時すでにカラカラで、その後も少雨が続いた。

一方、フーヴィン村では雨がほとんど降らず、田植えの時期を逸してしまった集落が複数、ありました。また、4-5箇所ある水源のうち1箇所しか利用できなくなっている集落もあり、人々の暮らしに影響を及ぼし始めています。在来の稲の復元に取り組む予定だったトゥア集落では冬春作を諦め、雨季の田植えに望みをかけます。

今年のように天候に左右され、2回の田植えが1回しかできないとなると、自転車操業の農家にとっては大きな打撃です。コメがなくてもこの時期はトウモロコシや雑穀、キャッサバ、イモ類、そしてマメ類、かぼちゃや瓜などを組み合わせれば何とか飢えずにすみます。しかし、次季の稲作もどうなるかわからない。それに、トウモロコシは家畜の飼料でもありますし、子供の学費や具合が悪くなった時の医療費もかかる。そのため、少しでも現金を得るために男性が短期の出稼ぎに出ます。2006年~2007年に洪水と寒波の被害にあったナムソン村では、各集落で平均10~15人ほどの男性が出稼ぎに出ました。また、水牛や牛を売却し生活を成り立たせている村人も多数いました。現在、フーヴィン村トゥア集落でも若者が出稼ぎに出始めています。

天候不順は避けられないとすれば、やはり農家の皆さんの「体力」をつけるための取り組みが大切です。化成肥料などを利用して収量をすぐに増やす方法もありますが、現金収入が限られているベトナム北部の農家の皆さんの実情には適しているとは言いがたく、また、持続性にも欠けると思います。一見、地味で遠回りのように見える地元のものを利用した方法が一番無理がなく、足腰が強くて長持ちする方法なのではないかと思います。

今回のような危機が訪れた際、村人はどう感じ、次の戦略を練るのか?先日、実施した農家の交流会でも様々な意見が出されましたので、次回、ご報告します。