Seed to Table~ひと・しぜん・くらしつながる~

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村人たちの生存戦略 ~交流会で出された意見から~

さて、ベトナム北部では、例年にない少雨となり、稲作や人々の生活に大きな影響を及ぼしています。今季のように暮らしに悪影響が及ぶような事象が起きた時、村人はどのように考え、対処しているのでしょうか。 

ホアビン省ナムソン村のトゥックさん(女性、60歳)

「この村にずっと住んでいるけど、今年ほど雨が降らない年はなかったわ。生活用水の水源もいくつも枯れてしまった。もうこうなったら、どうにもできないわ。早くまとまった雨が降ると良いのだけど。」

同じくナムソン村のヴィエットさん(男性、44歳)

「今は暮らしが良くなり、便利になってきている。昔は日に1度しか水浴びをしなかったのに今では日に3度も浴びる人が出てきた。人口が増えたと同時に生活レベルが改善されているので、水の量に比べて水の使用量が多くなってきているのだと思う。それも一つの水不足の原因ではないかな。」

同じくナムソン村のトンさん(女性、43歳)

「今季の稲はあんまり良くなかったから、3月に雑穀をたくさん植えたわ。それに野菜やトウモロコシもちょっと面積を増やしたの。稲がどうなるかわからないからね。」

ディックザオ村の二エムさん(女性、73歳)

「今年はひどい雨不足だった。でも、父や母から受け継いできた稲は新しい種類の稲(購入する種をさす)よりも丈夫なんだよ。ずっとこの村で植えてきているから、気候に適しているんだろうね。」

フーヴィン村のウオンさん(男性、40代)

「稲は大変だったけど、トウモロコシは何とか大丈夫だった。逆に少雨で乾燥していた方がトウモロコシには良いみたい。もし、少雨が続くようだったら、稲作をしないでトウモロコシを植えた方が安全かも知れない。」

などなど・・・雨が降るかどうかは「天」が決めることだから、自分たちの手には負えないと考える人、水不足の原因は少雨だけではなく人間が使う量が増えたからではないかと考える人、在来の稲を見直す人、また、稲だけに頼らず、雑穀や野菜、トウモロコシなどを増やして食料を確保しようとしている人など、様々な意見が出されました。そこには自分達の手に負えない気象条件の変化に頭を悩ませつつも、その影響を小さくしていこうと努力する村人の姿がありました。

ナムソン村での交流会の様子。田んぼを見たのち、それぞれの感想や意見を発表中。

ナムソン村での交流会の様子。田んぼを見たのち、それぞれの感想や意見を発表中。

今度の田植えは無事に終わりますように、収穫できますように、と天に祈ると同時に、環境教育を通じて子供たちと「水のゆくえ」を調べ、水の使い方について考える場をつくっていこうと思います。