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生物多様性と農業
先日、あるNGOにお招きいただき「生物多様性と農業」というテーマでベトナムの活動について発表させて頂きました。当日は元千葉県知事の堂本暁子さんなども参加され、様々な意見交換をさせて頂きました。
生物多様性について忘れてはならないと思う点は、人々の営みは生物多様性の中で行われており、本来、各地域の生物多様性は、そこに住む人々によって守られてきたということです。しかし、グローバル化が浸透して久しい今日、自然を守りながら活用してきた人々の暮らしにも様々な変化が生じています。
例えば、どんなに都会から離れた地域でも、携帯電話が普及し、情報が飛び交うようになりました。人々は、動植物の売買によって現金収入を得られることを知り、自宅の軒先にだけ飾っていた野生のランをたくさん採取したり、貝や小動物など、家族が食べる以上の量を取って販売したりするようになりました。
また、人口増加に伴い利用する水が増えたり、森林を開いて農地を増やしたことも自然資源や生物多様性を減少させている要因です。さらに、食糧の増産や現金収入を得るために単一の作物を作るようになり、改良された種、化学肥料や農薬など元々、その地域や自然界に存在しないものが大量に、急速に利用されるようになってきています。こうした変化も地域の生物多様性を減少させる大きな要因となっています。
私がベトナムの皆さんと取り組んでいる活動は、小さく地味ではありますが、生物多様性を守りながら、そこに住む人々の暮らしを維持していくための一つの実践例といえます。今後、ベトナムの人々がより豊かで快適な暮らしを求めていく中で、そうした希望を実現しながら、いかに地域の自然を守り活用していくのかが大きな課題となります。この大きな課題に取り組むには、伝統的な知恵や技術と現在の技術や研究成果を組み合わせたり、様々な国や地域の人々の経験や知恵を借りる必要があります。皆さんからも是非、インプットをお願いします!
Posted: 2010年 4月 6日 カテゴリ: 未分類.
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