Seed to Table~ひと・しぜん・くらしつながる~

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Terra Madreへ参加してきました。

Slow Food Internationalが2年に一度開催しているTerra Madreに私を含めて3人で参加しました。今年は景気後退が影響し、各国からの参加者が30-40%ほど減らされてしまいました。 

今年のテーマは先住民の人々でした。これまでも先住民の人々の知恵や食文化、自然の活用方法などを取り上げてきているので、正直言って、あまり新鮮味がありませんでした。ただ、三つ、印象に残ったことがあります。まず、これまでのように開会式と閉会式でチャールズ皇太子や各国の農業省・環境省大臣のスピーチがなくなり、5大陸から先住民の代表が彼らの言葉でスピーチを行いました。各地域で家族と共に暮らし、自然や文化を守ってきた人々にさらなる敬意と尊敬を払い、彼らの声に耳を傾けよう、というペトリーニ会長の考えがよく表れていたように思います。

アフリカ大陸を代表し、エチオピアの方が発表

次にアメリカでのスローフード運動の広がりです。今回、アメリカから生産者の他、シェフの皆さん、学生さんなど、参加した人々の幅の広さと人数の多さに驚きました。そして、ファーマーズ・マーケットやスクール・ガーデンなど、地域に密着した取り組みや世代を超えた取り組みが数多く行われており、スローフードの考え方に多くの人が共感し、具体的な動きとして現れていました。

個人的には、どんな運動であれ、一部の人にしか共感されないようなラディカルで政治的な思考や発言だけでは、広がりは期待できないと思います。また、儲けだけを意識した方法も最終的には成功しないでしょう。社会を買えていくためには、多くの人が共感できるような輪を作っていく必要があります。その際、リーダーがオープンで懐が広くなければ、多くの人の意見を受入れ、力にしていくことはできないでしょう。私はスローフード・インターナショナルの副理事長で、アメリカの有名なシェフであるアリス・ウォーターさんとお話したことはありませんが、きっと、多くの人を惹きつける素敵な人なのだと思います。

最後に、アマゾンや北欧の先住民の代表の方が祖先から受け継いできた土地がどんどん買収され、自然が破壊され、暮らしが脅かされていることを彼らの言葉で訴えていたことです。アフリカや南米における急激な土地の収奪(Land Grabbing)が深刻な問題となっていますが、今回は直接、被害を受けている人々から暮らしの困難さについて話を聞くことができました。問題の大きさと複雑さに眩暈がしますが、だからこそTerra Madreのような場所で情報を発信し、意見交換をすることが大切なのだと思いました。

アース・ワークショップでは政策についての議論が集中的に行われていましたが、政策を変えていく動きと同時に今日の暮らしに困っている人々へどんな対話や関わり方が必要なのかを考え、実施していく必要があります。すでに時間との戦いです。

さて、ベトナムからの参加者はどう感じたのか。ホアビン省フーヴィン村のズンさんの感想です。

「世界中で在来のたねや地域の人々の知恵が注目されていることに驚いた。地域のたねや文化を守っている人々がたくさんいる。私の村でも在来種しか植えられない集落がある。そうした地域で在来のたねを守っていきたい。」

また、ホアビン省デイックザオ村のルンさんはこんな感想を話してくれました。

「インドで起こっていることはタンラック郡でも起こっている。モンサント社のたねと同様、タンラック郡で売られているハイブリッド種は村人にとって高いし、毎年買わないといけない。それに必ず良い結果が出るとは限らない。旧正月に食べるバインチュンは在来のもち米でないと美味しくない。多くの村人が在来種を植えたいと思っているが、生育期間が長いことが課題だ。」

日本から参加された皆さんと話しているズンさんとルンさん

長澤さんとも久しぶりに再会。みんなでパチリ

今後、二人がどのようにこの印象を村人に伝え、活動に還元していくのか、またご報告します。

それから、今回は中国・マカオ・タイからの参加者と同じ宿舎で、おおいに交流できました。ベトナムの人にとってやはり環境が似ている周辺国の人々と意見交換することが一番、しっくりくるようです。この繋がりを大事にして、今後も周辺国の皆さんと交流していきたいと思います。

各国からの参加者と記念撮影

最後に私の発表ですが、Traditional Rice Growers Networkと日本の地域会合でベトナムの稲作について話をさせて頂きました。参加した方や後日、メールでお問い合わせを頂きました。特にアジア各国からの関心が高かったです。中にはアメリカの学生さんからもご連絡を頂きました。ありがとうございます。今後、ホアビン省やベンチェ省で若手農家が英語を学び、私に代わってイタリアに出かけ、発表できるようになるといいねえ、とズンさん・ルンさんと話しました。目指すは次回のTerra Madre!