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自然の力を借りた病害虫管理

ホアビン省ではムオンの人々が生産者グループを作り、有機農産物の生産技術を向上させながら、消費者との提携を模索しています。その一環として、有機農業技術研修を実施しています。

先日、野菜や稲に関する病害虫を有機的な方法によって防除する方法について研修を行いました。講師はタンラック郡植物防疫所のスタッフが務めました。内容はいたってシンプルで、村人に応用しやすいものです。まず、畑や田んぼの準備、水の管理、土壌管理、輪作や混植などについて紹介しました。次に、誘引植物などの様々なワナについて、最後にテントウムシ、クモ、ハチなどの天敵や地元にある植物を作った植物源農薬(Botanical Pesticide)などを用いた防除方法について紹介しました。

ナムソン村での研修の様子

3つの村で研修を行いましたが、参加した村人はまさに「目から鱗」状態でした。というのも、今回、紹介した誘引植物などのワナや、植物源農薬の原料は、村の中で容易に見つけることができるもので、お金をかけずに簡単に作ることができるからです。それから、村人の中にテントウムシの幼虫が「害虫」だと思っていた人がいましたが、実はその「害虫」がアブラムシなどの害虫を食べてくれる「益虫」であることを知り、驚いていました。

また、世界的に減少が懸念されているハチですが、ホアビン省タンラック郡も例外ではなく、ハチがどんどん少なくなっているそうです。今回の研修では、害虫の卵などに寄生するハチが害虫防除に一役かっていることが紹介され、参加した村人がハチの役割の重要性について、改めて認識する機会となりました。ハチを増やすためには、どうしたらよいか?という問いに、「菜園や自宅の周りに花を植えること」「農薬を撒かないこと」といった意見が出されました。

特にサトウキビ栽培で大量の農薬を使っているフーヴィン村では、農薬をいかに減らしていくかが大きな課題となっています。今回の研修によって、植物源農薬を活用することで、農薬に頼らなくてもサトウキビ栽培が可能かもしれない、という希望が村人の中に生まれました。

今回、紹介した方法を村人が実践していく予定ですが、この効果をモニタリングすると共に、今後も季節に応じて、必要な病害虫の防除について適宜、研修を行っていく予定です。